2011年5月1日日曜日

赤いバラに君は喜ぶか。

引退して悠々自適……とはいかないまでも、適度に優雅に過ごしている父が、かねてから乗りたかったというフォルクスワーゲン・ビートルのコンバーティブルを購入した。母も大反対だった。理由は、横に乗るのが恥ずかしいから。

ガンメタリックのボディにワインレッドの幌。すばらしくキザ。


青味がかったボディカラーはまあ、適度に渋みがあってもよいのだが、実は、アルミホイールにはワインレッドのアクセント的なペイントが施してあり、幌もワインレッド、シートもワインレッド革張り。限定タイプであったとのことだが、確かに派手で、それを息子の私にも、ときには足として乗ってよい、などという。

しかし、恐れ多くて足になどできるわけがない。幌が痛むからと、普段はカバーでぐるぐる巻きにされていて、滅多にエンジン音を聞いたことがない。そう、父もオーナーになったことに満足していて、ほとんど運転することはないようだ。もったいない。

そんな派手派手ビートルに、今週末乗る機会があった。私の車が車検と再塗装から上がってきたので、それを引き取るためいつも世話になっている修理工場まで載せてもらったのだ。

ふむふむ。なかなか内装も立派。さすがに3ナンバーだけあって足元もゆとりがある。動作はややもっさりしていて、私の306のほうがきびきびしている……。などと感想を考えていたら、運転席のステアリングホイール脇に、なにやら変な形のものがあった。

このフォルクスワーゲン・ビートルの運転席には一輪挿しある。アンビリーバブル。


写真の中央に写っているなぞの物体である。いや、なんとなく想像はつく。いやまさか……。運転席にそんなものなどあるわけがない。そう思いつつ、恐る恐る父に聞いてみた、それは何かと。

恐れていた通り、それは「一輪挿し」であった。一輪挿しである。何度も言うが、花を一輪だけ活ける、あの一輪挿しである。運転席にそんなものが必要な人種がいることにまず驚いた。そんな発想のデザインがあることにも驚いた。生まれて初めて車のなかでそんなものを見た。

父によれば、購入したときにはそこに真っ赤なバラが差さっていたとのこと(もちろん造花ではあるが)。しかし、あまりに気恥ずかしいので捨ててしまったと。いやいや、どうせなら残しておいて欲しかった。写真に撮りたかった。柔道黒帯保持者の父と、バラの花の運転席。豚に真珠。猫に小判。柔道有段者に赤いバラ。想像するだけで笑える構図だったのだが……。

それにしても、こんな車で、ほんとに赤いバラを運転席に飾って彼女を迎えに行ったら、日本の女性はどのような感想を持つのだろうか。一度自分で試してみたいような気もするが、ファーストデートでは危険が高いような気がしてならない。

0 comments: