2018年2月4日日曜日

NiSiのミディアムGNDフィルターを使ってみた

NiSiのフィルターを使うようになって2年半経った。

主に使っているのは横幅150ミリ角型の減光で、ND8、ND64、ND1000の3枚(数字が大きくなるに従い減光量が大きくなる)。これに加えて板の半分が次第に暗くなるソフトGND8と、反射した光をカットしてくれるPL(偏光)フィルターの計5枚だ。

これらを組み合わせてカメラに取り込む光量を調整し、長時間露光を行っている。

今回、このラインナップにミディアムGND8という減光フィルターが加わった。ソフトGNDとミディアムGNDは両方とも、板の半分が次第に暗くなることに変わりはないのだが、ミディアムの方が明から暗への変遷が速い。

言葉で書いてもわかりづらいので、下の写真で比較していただければと思う。

左:ソフトGND8、右:ミディアムGND8
左の「ソフト」と比較して右の「ミディアム」のほうが、グラデーションで黒に到達するまでの幅が狭い。実はこのほかに「ハード」という、グラデーションの幅がさらに狭いGNDフィルターもあるのだが、個人的には使いたい場面が少なく、手に入れていない。

比較して気がついたが、今の新型のNiSiのフィルターは角が丸い。デリケートなガラス板を欠けたりしづらくするための工夫か。ホルダーのスリットへの挿入も楽になるはずだ。

そして、以前のARシリーズからIRシリーズに進化しているため、保護コーティングがすばらしくなった。ゴミや汚れがすぐに拭き落とせる。

話がそれた。撮影の話に戻そう。

このミディアムが役に立つのは、地平線で空と大地(または海)が比較的くっきりとわけられている風景だ。都会の風景が好きな私の場合では、夕刻の東京の街並みが当てはまる。空は明るいのに下の街並みは光が足りずにシルエットになってしまう――。そんな時間帯だ。

このときに、この約3段分の減光効果を得られるミディアムGNDを使い、上半分の空を減光してやる。そうすると、空と街並みの明るさが調整でき、バランスのよい風景がワンショットで撮れる。

フィルターをかざしてみると、下の写真くらい景色の見え方が変わる。


実際に街並みを撮るとこんな感じになる。

フィルターなし
ミディアムGND8を使用
2枚目の写真は上半分が減光されているため、街並みを適度な明るさに露光しても、上半分の夕日が当たるビルや空の色がしっかり残っているのがお分かりいただけると思う。

同じ場所で縦位置も試してみた。

フィルターなし
ミディアムGND8を使用
縦位置でカメラを下に向けすぎると、当たり前だが減光が始まる部分が下に移動してしまうため、ビルが必要以上に暗くなってしまった。こういうアングルでは、グラデーションがゆるやかな、ソフトGNDの方がより適しているようだ。

ところで、今のカメラセンサーは性能が極めて優れているので、3段程度の減光効果は実はポストプロセスでも得ることができる。また、同じ場面を露出に差をつけて3枚程度撮った写真を合成することでも似たような効果は得られる。

フィルターなしの写真をアドビ・ライトルームの段階フィルターで調整
どうしてもGND単体で使いたいとしたら、フィルムカメラを使う場合や、シャッターを切ったときに最善の結果を得たい場合に限られる。

私の場合も、前述した3枚の減光フィルターと組み合わせ、日の出や日の入りの時間帯に目指す露光時間を稼ぐときに出番が多くなりそうなフィルターだ。

今回の使用機材

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