アート写真は時間は忍耐勝負である。アキラ・タカウエさんの個展「コンセプチュアル・アーバンスケープ」を見てそう思った。
僕は写真を撮るとき、月の満ち欠け、潮の流れ、風向きや風の強さを気にする。それらを考慮して目的地を選んでおもむき、撮れることもあれば撮れないこともある。撮れないことの方が多い。
僕は写真を撮るとき、月の満ち欠け、潮の流れ、風向きや風の強さを気にする。それらを考慮して目的地を選んでおもむき、撮れることもあれば撮れないこともある。撮れないことの方が多い。
ただでさえ撮れないことの方が多いのに、タカウエさんはさらにその上の写真を目指す。彼は、彼が好む被写体(建築物)を構図に配置する際、あえて「空間」を残す。そして、その空間にプラスアルファのスパイスを加えようとするのだ。
建築物を見上げた場合、そこにあるのは空のみであることがほとんどだ。そして、構図のあえて残した「空間」入れられるものは、空に浮かぶ雲しかない(月や太陽も可能性としてはある)。その雲の位置や流れをコントロールできる存在があるとするなら、それは「神」(僕は神を信じないが)。そんな超越した存在でないでないなら、できうることはただ「待つこと」だけである。
どれだけけ待てば、それが撮れるのか。「写真はハプニングである」と僕は思ってきたが、彼の場合にはハプニングを起こす、起きるまで待つ。その忍耐力がある。
いや、ひょっとしたらタカウエさんには、「雲」を呼ぶ力があるのかもしれない。個展で披露されている写真を見て、そう思った。彼が出展している写真への思いは、個展初日に開催されたトークライブの動画で聞くことができる。
「まだ、撮れていない絵が山ほどある」とタカウエさんは言う。これからどんな神がかった風景を見せてれるのか、楽しみで仕方がない。
あと、今ふと思いついたので、ここだけの話だが、彼の「建築気象予報」も聞いてみたい。
(写真上)フィリピン・マニラの建築物の上に浮かぶ雲。僕はこの写真を見て、戦後を代表する写真家・東松照明氏が波照間で撮った雲の写真を思い出した。タカウエさんの写真はそのモダンバージョンと勝手に思っている。
(写真下)ニューヨークで撮ったビルの上の雲は、まるでオーロラでも見ているような印象を与える。
アキラ・タカウエ 写真展 / コンセプチュアル・アーバンスケープ
技術者として向き合う都市構造物の「理論」、
写真家として向き合うファインアートフォトグラフィーの「感性」、
この双璧たる二つの世界が理想的に融合、
そして共鳴し新しい都市風景を創造する。
写真家として向き合うファインアートフォトグラフィーの「感性」、
この双璧たる二つの世界が理想的に融合、
そして共鳴し新しい都市風景を創造する。
アキラ・タカウエ 写真展 / コンセプチュアル・アーバンスケープ
~ファインアートと建築写真の理想的融合~会 期 2016年3月12日[土]-26日[土] open 11:00-19:00
入場無料 会期中無休
会 場 Island Gallery
東京都中央区京橋1-5-5 B1 tel / 03-3517-2125
協 賛 マルマン株式会社 Canson Infinity
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